「おごそかなめいが」の真贋を見分ける際、周囲に描かれた少女(王女)や犬、あるいは巨大なキャンバスに向かう画家の筆先に目を奪われてはならない。つねきちの改変は、背景中央奥にある明るい扉の階段に立つ男性の右腕にのみ集中している。
本物の絵画では、階段に佇む宮廷侍従が扉にかかるカーテンに静かに右手を添えており、腕の角度は斜め下約45度に落ち着いている。遠近法の陰影に溶け込むような、ごく自然な佇まいだ。
これに対し、偽物は明らかに異様なポーズをとっている。奥の人物がまるで遠くの誰かに手を振るかのように、あるいは元気よく挙手するかのように、右腕を水平よりも高く天井側へ掲げているのだ。「これからカーテンを開けようとしているのか、それとも別れの挨拶をしているのか」とプレイヤーの間で失笑を買うほど、拡大すればその不自然さは明白である。
この「手の向き」の違いさえ記憶していれば、現場で迷う余地はない。遠目に見ると単なる黒いシルエットに見えるため、初見では見落としがちだが、焦点を「奥の扉」一点に絞ることこそが唯一無二の鑑識眼となる。