タワー・オブ・パワーのサウンドを語る上で欠かせないのが、世界中のプロミュージシャンから「神業」と称賛されるTOPホーンセクションのアンサンブル設計です。トランペット2本、テナーサックス2本、バリトンサックス1本という5人編成は、一般的なビッグバンドやブラスロックバンドとは根本的に異なるアプローチをとっています。
その最大の特徴は、スティーヴン・"ドク"・クプカのバリトンサックスが担う「第2のベースライン」とも言える低域のアンカー機能です。高音域を突き抜ける鋭利なトランペットと、中音域で肉厚なハーモニーを紡ぐテナーサックスに対し、バリトンサックスがベースラインと完全にユニゾンあるいはカウンターを当てることで、ホーン隊全体が一つの巨大なパーカッションのように機能します。エルトン・ジョン、サンタナ、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース、エアロスミスなど、ジャンルを超えたトップアーティストたちがこぞってTOPホーンセクションをゲストに招いた理由は、彼らのブラスが単なる伴奏ではなく「楽曲の推進力そのもの」を創出するからです。
そして、この強靭なホーンセクションを迎え撃つのが、デイヴィッド・ガリバルディとフランシス・ロッコ・プレスティアが築き上げた伝説のリズム隊です。ジャズのインプロヴィゼーション感覚とストリートの生々しいR&Bが融合したそのビートは、「シンコペーション(アクセントの移動)」の極致として知られます。
ガリバルディはハイハットのオープン/クローズをミリ秒単位で制御し、スネアのゴーストノート(微小な音)を敷き詰めることで立体的な空間を作り出します。そこにロッコが、左手で弦をミュートしながら右手人差し指と中指のオルタネイトで超高速の16分音符を叩き込む。この「音が鳴っている瞬間」と同等以上に「音を止める瞬間(休符)」が厳密に揃うことで、聴き手の身体を無意識に揺らす強烈なタワー・オブ・パワー特有のポケット(グルーヴのツボ)が生み出される仕組みです。