売上だけで判断は危険?損益計算書の読み方とプロが教える5つの利益の真実

売上だけで判断は危険?損益計算書の読み方とプロが教える5つの利益の真実

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現場で経理実務を担当するスタッフや、起業して間もない中小企業経営者のコミュニティでは、損益計算書にまつわる切実な悩みが日々交わされています。「会計ソフトの画面上では数百万円の当期純利益が出ているのに、なぜ会社の銀行口座には残高がほとんど残っていないのか」という悲鳴にも似た相談は、後を絶ちません。

この乖離が生じる理由は、損益計算書が「発生主義」というルールに基づいて記帳されているためです。売買契約が成立して請求書を発行した時点で売上と利益が計上されますが、実際の入金が2カ月先、3カ月先であれば、手元に現金は存在しません。逆に、売れ残った大量の在庫を仕入れた代金は即座に出ていくにもかかわらず、売れるまでは売上原価として費用計上されず、利益計算の表舞台には現れない仕組みになっています。

ここで不可欠になるのが、財務3表のつながりを立体的に捉える視点です。損益計算書(P/L)が「一定期間における収益と費用のフロー」を表すのに対し、貸借対照表(B/S)は「期末時点での財政状態のストック(資産・負債・純資産)」を記録します。そして、キャッシュフロー計算書(C/F)が「現金の実際の出入り」を生々しく追跡します。

損益計算書の当期純利益は、貸借対照表の純資産の部にある「繰越利益剰余金」に合流して会社の基礎体力を蓄積していきます。しかし、売掛金の未回収や棚卸資産(在庫)の滞留が起きれば、キャッシュフロー計算書における「営業活動によるキャッシュフロー」が大きくマイナスに沈みます。P/Lの利益という数字は会計上の約束事に過ぎず、企業を真に生かし続ける血液はキャッシュであるという冷厳な事実を忘れてはなりません。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。