山本屋総本家と本店はなぜ別物?味・麺・値段の決定的な違いを徹底解説

山本屋総本家と本店はなぜ別物?味・麺・値段の決定的な違いを徹底解説

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山本屋総本家を初めて訪れた人がほぼ確実に直面するのが、「麺に火が通っていないのではないか」「芯が残っていて生煮えではないか」という強い違和感です。グルメサイトの低評価レビューの多くも、この尋常ではない麺の硬さに起因しています。しかし、この独特の歯ごたえには、極めて論理的かつ科学的な麺が硬い理由と真相が隠されています。

一般的なうどんは、生地を打つ際に塩水を加えます。塩分には小麦粉のグルテンを引き締め、茹で上がりに弾力ある「コシ」を生み出す役割があります。しかし、味噌煮込みうどんの麺は「塩を一切使わずに小麦粉と水だけで打つ」という厳格なルールを守り続けています。

もし塩の入った麺を濃厚な味噌だしで直接煮込むと、浸透圧と塩分過多によってつゆが塩辛くて飲めなくなってしまうためです。塩分ゼロの生麺を、沸騰した土鍋の味噌つゆの中に生のまま投入し、蓋をして強火で一気に煮込む。塩が入っていない麺は煮崩れしやすく、表面がとろけてつゆに適度なとろみを与える一方、内側には強烈な芯が残ります。つまり、讃岐うどんのような「もっちりしたコシ」ではなく、「煮込み用の生麺が熱いつゆの中で絶妙なアルデンテを維持している状態」こそが正解なのです。

このアツアツかつ強靭な麺を美味しくいただくために考案されたのが、独特な土鍋の蓋を使う食べ方です。山本屋総本家で供される土鍋の蓋には、一般的な土鍋にあるはずの「蒸気抜きの穴」がありません。蓋を取って裏返し、卓上に置くことで、そのまま小皿(取り皿)として機能するように設計されています。沸騰する土鍋から直接すすると火傷を負うため、熱々の麺を数本すくい、蓋の上に一度避難させてから、味噌の香りをまとった麺を噛み締めるのが伝統の流儀です。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。