都立西高校と高校野球の歴史を語る上で欠かせないのが、戦後初となる1946年(昭和21年)夏に開催された第28回全国中等学校優勝野球大会(現・全国高校野球選手権大会)です。西高校の前身である府立十中は、東京都代表として甲子園の土を踏み、破竹の進撃で都立高校史上初となる全国ベスト4進出の偉業を成し遂げました。
この歴史的快挙は今なお学校の誇りとして受け継がれており、野球部室や学校資料館には当時の記憶を伝える貴重な資料が保管されています。しかし、現代の高校野球は私学による特待生スカウトや専用スタジアムの保有が当たり前の時代となりました。その中で、都立西高校が今なお高い競技力を維持できる「文武両道の理由」はどこにあるのでしょうか。
関係者への取材や卒業生の手記から浮かび上がるのは、同校に根付く「自主自律」の精神です。都立西高校には細かい校則や過度な締め付けが存在しません。生徒自らが学習計画を立て、限られた時間をいかに最大化するかを日常的に追求しています。野球部員にとっても、授業中の集中力を極限まで高めて宿題や受験対策を校内で完結させ、放課後のグラウンドでは一切の無駄を排除したプレーに没頭するというライフスタイルが自然と定着しているのです。