庭や畑がない都市部の住宅環境でも、深型プランター(深さ30cm以上・容量25L以上)を活用すれば、ベランダで十分なさつまいも収穫が可能です。プランターでのさつまいも苗の植え方では、スペースの制限があるため「斜め植え」または「垂直植え」が基本となります。培養土は市販の野菜用培養土に赤玉土(小粒)を2〜3割混ぜて排水性を高めたものを使用し、株間を25〜30cm確保して1つのプランターに1〜2株を目安に植え付けます。
市民農園利用者や園芸コミュニティの間で長年議論されるのが「つる返し」の要否です。つる返しのやり方と不要な理由について、現代の栽培現場では明確な結論が出ています。
つる返しとは、つるの途中から伸びて土に刺さった不定根を引き剥がし、養分が分散して小イモだらけになるのを防ぐ作業です。しかし、黒マルチを使用している場合、つるがマルチの上を這うため土に根を下ろすことが原理的にありません。そのため、黒マルチ栽培ではつる返しは一切不要です。むしろ、無理につるをひっくり返すことで葉の配列が乱れ、光合成効率が数日間低下するデメリットの方が大きいと専門機関からも報告されています。
土壌の栄養管理における最大の失敗要因は「肥料の与えすぎ」です。元肥と追肥の適切なタイミングを誤ると、葉とつるばかりがジャングルのように生い茂り、地中にイモが全くできない「つるボケ」が発生します。さつまいもは根粒菌に似た共生菌(内生窒素固定菌)の働きにより、痩せた土壌でも空気中の窒素を利用できる能力を持っています。
前作で野菜を育てていた畑なら、「元肥は完全無施肥」が基本です。新天地や砂地で極端に痩せている場合のみ、チッソ・リン酸・カリのうちカリ分(イモを肥大させる成分)が多めの配合肥料(例:N-P-K = 3-7-10など)を1平方メートルあたり30〜50g程度施すにとどめます。基本的に追肥も必要ありません。