『地面師たち』のプロットは完全なフィクションではなく、2017年に実際に起きた「積水ハウス地面師詐欺事件」がベースとなっています。JR五反田駅至近にあった老舗旅館「海喜館(うみきかん)」の広大な敷地を巡り、積水ハウスが約55億5000万円を騙し取られたこの前代未聞の事件は、当時の日本社会に凄まじい衝撃を与えました。
ドラマ版と実話事件を比較すると、ディテールの再現度の高さに驚かされます。
実際の事件でも、本物の地主から「売買契約など結んでいない」という警告文が積水ハウス側に届いていたにもかかわらず、社内派閥の功名心から「ライバル企業による妨害工作だ」と信じ込んで決済を強行してしまいました。ドラマで描かれた青柳の盲目的な突進は、現実の組織が陥った心理的トラップを克明にトレースしたものです。