キャスティング発表時や初期のネット掲示板などでは、「全身包帯で顔が見えないのなら、あえて藤原竜也のような主役級俳優を起用する必要があるのか」という疑問の声が一部で囁かれていました。しかし、映画公開後にその声は完全に消え去ることになります。
表情筋による繊細なニュアンス表現が封じられた志々雄役において、藤原竜也は「身体の傾き」「首の角度」「歩幅の緩急」という全身のフォルムだけで感情の機微を表現しました。冷酷な嘲笑、国家への怒り、駒形由美(高橋メアリージュン)に向ける一瞬の情愛など、顔が見えないにもかかわらず「誰が見ても藤原竜也であり、同時に本物の志々雄真実である」と認識させる芝居を成立させたのです。
原作者の和月伸宏氏も藤原竜也の演技を大絶賛しており、漫画の記号的デザインを三次元の生身の人間として再構築した点において、日本の実写化ビジネスにおける大きなターニングポイントとなりました。