安倍氏の私生活における最大の転機となったのが、森永製菓の創業家出身である松崎昭恵(現・安倍昭恵)夫人との出会いでした。二人の出会いは1984年、知人がセッティングした食事会(いわゆる合コン)でした。
当時、電通に勤務していた昭恵夫人は明るく天真爛漫な性格で、場を盛り上げる人気者でした。一方の安倍氏は父の秘書官として多忙を極めており、初対面の場にはスーツ姿で50分ほど遅刻して現れたといいます。最初は「真面目で堅い人」という印象を持っていた昭恵夫人でしたが、知れば知るほど見えてくるユーモア精神と誠実な人柄に惹かれていきました。
安倍氏側もまた、自分の意見をはっきりと持ち、明るく周囲を照らす昭恵夫人の天性の社交性に強く惹かれ、熱心なアプローチを続けました。約2年半の交際期間を経て、1987年6月に東京・元赤坂の迎賓館隣にある明治記念館で結婚式を挙げました。披露宴には政財界から名だたる重鎮が出席し、大きな話題となりましたが、夫婦の本質は常に「お互いの自由を尊重し合う対等なパートナーシップ」にありました。