テレビアニメ第2期が幕を閉じて以降、クオリティの高さから再評価の声が止まない本作ですが、なぜアニメ3期の制作は実現していないのでしょうか。業界関係者の分析や配信市場の動向を照らし合わせると、複数の現実的な壁が浮かび上がってきます。
最大の要因として挙げられるのが、原作のストーリー構造とアニメ映えのバランスです。アニメ第2期がカバーした「鹿鳴館編」や「タンバリン編」までは、王族同士の対立や誘拐事件といったダイナミックなアクション・事件解決が中心でした。しかし、その後に続く「リリアス編」以降は、白雪が宮廷薬剤師として植物研究に没頭し、ゼンが領地経営の責務を果たすという、地道な政務と人間関係の深掘りが主軸となります。内省的で丁寧な心理描写が魅力である反面、1クールのアニメーションとして山場を作る構成難易度が極めて高いのです。
また、アニメーション制作を手掛けたボンズ(BONES)の制作ラインの過密さや、近年の製作委員会における海外配信主導の収益モデルへの転換も影響しています。とはいえ、原作の根強い人気と国内外での配信再生数の維持、周年企画の盛り上がりを考慮すれば、完全な可能性消滅ではなく、OVAや劇場版アニメ、あるいは原作完結時の特別プロジェクトとしての再始動が現実的なシナリオとして残されています。