同店を語る上で欠かせないのが、黄金色に焼き上がったクロワッサンだ。オーブンから取り出された瞬間、表面からはパチパチと繊細な音が響く。この音こそ、内部の水分が抜け、完璧な層が形成された証拠だ。
職人が織りなす層の数は、計算し尽くされた16層。層が多すぎれば重くなり、少なすぎれば油分が強くなる。外側はハラハラと崩れるほどクリスピーで、中心部はしっとりとバターを含んだエアリーな質感。製パン業界の専門家からも「生地の伸長性とバターの融点コントロールが極限まで極められている」と称賛される理由は、この完璧な食感のグラデーションにある。