マイケル・ジャクソンへの祈りが込められた壮大なテーマを持つ一方で、『SUN』にはもうひとつの驚くべき制作経緯が存在します。それは、お笑いコンビ・バナナマンの日村勇紀との深い絆です。星野源とバナナマンの親交は深く、星野は毎年5月、TBSラジオの深夜番組『バナナマンのバナナムーンGOLD』に出演し、日村の誕生日を祝うオリジナル曲を弾き語りでプレゼントすることが恒例となっていました。
2014年5月の放送で、日村の42歳を祝うために披露された楽曲「日村さん42歳誕生日の歌」。このアコースティックソングのサビで歌われたメロディと「Baby」というフレーズの響きこそが、のちにブラッシュアップされ、『SUN』の象徴的なサビへと生まれ変わったのです。ラジオの悪ノリから生まれた私的なプレゼント曲の骨格が、やがてドラマ『心がポキッとね』のプロデューサーの耳に留まり、「壊れかけた心を救うポップソングを」というオファーと共鳴して正式なシングル制作へと舵が切られました。
私信のような温かい友情から生まれたメロディに、自らを育んだブラックミュージックへのオマージュと死者への祈りを重ね合わせる。一見すると相反するプライベートな文脈が見事に融合したからこそ、机上の計算では生み出せない血の通った躍動感が宿ったのです。この楽曲はまさに、人と人とのリアルな関わりの中から奇跡的に立ち現れた結晶といえます。