最低賃金制度に関しては、使用者側だけでなく労働者側にも根強い誤解や無知が散見されます。最も警戒すべきは、「うちは個人経営の小さな喫茶店だから」「試用期間中だから」といった独自の解釈で、最低賃金を下回る時給を平然と支給しているケースです。
最低賃金法第4条に基づき、最低賃金は雇用形態を問わず、県内で働くすべての労働者に例外なく適用されます。高校生アルバイト、大学生、主婦パート、契約社員、さらには外国人技能実習生に至るまで、同一の地域別最低賃金以上の金額を支払わなければなりません。これに違反した場合、最低賃金法違反と罰則として50万円以下の罰金(最低賃金法第40条)が科される刑事罰の対象となります。さらに、過去に遡って差額賃金を請求されるだけでなく、労働基準監督署による是正勧告や企業名の公表など、企業の社会的信用を根底から失墜させるリスクを負います。
さらに、月給制の正社員であっても「隠れ最低賃金割れ」が発生しているケースが少なくありません。最低賃金の対象となる賃金には、以下の手当は算入されません。
- 算入されない手当:通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外・休日・深夜労働手当(割増賃金)、臨時に支払われる賃金(結婚手当等)、賞与(ボーナス)
基本給と一部の職務手当のみを合算し、それを年間平均の月所定労働時間で割った時間単価が、県内の最低賃金を1円でも下回っていれば明確な違法です。「固定残業代込みで月給20万円だから大丈夫」と思い込んでいた企業が、残業代を除外して時間換算したところ最低賃金未満であったというトラブルは、2026年最新最低賃金ニュースでも繰り返し警鐘が鳴らされています。