読者の皆様が最も懸念している「油木ダム取水制限の可能性」について、現場の意思決定プロセスから客観的に紐解きます。結論から申し上げますと、貯水率が一定の危険ライン(一般的には30%〜35%前後)を下回り、かつ向こう数週間の降雨シミュレーションでまとまった雨が見込めない場合、今川水系渇水調整協議会において取水制限の導入が決定されます。
取水制限は一律に全蛇口を止めるわけではなく、社会的な混乱を最小限に抑えるため、以下のような段階を踏んで実施されます。
第1段階として行われるのが、農業用水および工業用水の先行カット(10%〜20%制限)です。苅田町の臨海コンビナートや自動車関連工場、京築平野の穀倉地帯へ向かう取水量を抑制します。この段階では、家庭用上水道の給水制限は行われず、市民向けにはポスターや広報車を通じた自主的節水の呼びかけが中心です。
第2段階として、貯水率が20%台に落ち込むと、水道用水に対する取水制限(10%〜15%程度)が発動されます。配水池の水圧を下げる「減圧給水」が夜間中心に導入され、高台の住宅地や集合住宅の上層階で水の出が悪くなるといった具体的な影響が現れ始めます。
さらに深刻な第3段階(貯水率一桁台)に達すると、時間限定で給水を止める「時間給水」や給水車による応急給水が検討されますが、これは極めて例外的な事態です。北九州市水道水源状況は、油木ダム単体に依存しているわけではなく、遠賀川水系や紫川水系、ます淵ダムなど広域の水源ネットワークと相互融通できる送水ルートが整備されているため、都市部全体が即座に断水へ追い込まれる可能性は構造上極めて低く抑えられています。