原材料費の高騰や人手不足といった課題が容赦なく押し寄せる現代の外食産業において、70年以上の歴史を紡いできた株式会社因幡うどんの経営姿勢は極めて誠実だ。機械化できる部分は大胆に合理化を進めながらも、味の肝となる出汁取りのプロセスや毎朝の仕込みには一切の妥協を許さない。
「変えないために、変わり続ける」。同社が掲げるこの哲学は、空港店というスピード勝負の現場でこそ真価を発揮している。セントラルキッチンに依存しきることなく、現場での丁寧な火入れと温度管理を死守する姿勢が、舌の肥えた博多の常連客たちを今なお納得させている理由だ。
チェーン展開を進めながらも、大量生産の工業製品には決して堕ちない。一杯の丼に注がれる職人気質が、移り変わりの激しいフードビジネスの世界で揺るぎないブランド力を担保している。