靖国神社は元来、1869年(明治2年)に明治天皇の命によって建てられた「東京招魂社」を起源とします。戊辰戦争で朝廷(官軍)側に立って命を落とした戦死者を慰霊・顕彰するための施設であり、賊軍とされた会津藩士や西郷隆盛らは祀られていません。
つまり、靖国神社は普遍的な「戦没者全員の追悼祈念碑」ではなく、「国家の命を受けて戦い、国のために命を捧げた者を神(英霊)として顕彰する」という明確な固有の成立文脈と教理を持っています。この施設特性が、戦後の民主主義社会における「個人の信仰」「国家指導者の政治的道義責任」「近隣諸国の被害感情」と交差する地点で、解きほぐすことの難しい多重の摩擦を生み出しています。