大会の開幕前から世界中のメディアが最大の焦点として報じていたのが、前大会王者ポルトガル、2018年ロシアW杯王者フランス、欧州の雄ドイツ、そして伏兵ハンガリーが同居したグループF、通称「死の組」の行方でした。2021年6月11日の開幕から連日深夜に繰り広げられたユーロ2021試合日程結果一覧を精査すると、この組の消耗戦がいかに過酷であったかが克明に浮き彫りとなります。
ブダペストとミュンヘンを舞台に行われたグループFの対戦結果は、まさに1点差やドローが連続する極限状態でした。第1節でハンガリーを3-0で下したポルトガルに対し、フランスはドイツをオウンゴールの1-0で退けました。続く第2節ではドイツがポルトガルに4-2で打ち勝つ乱打戦を演じ、フランスはハンガリーの猛烈な組織守備に阻まれ1-1の痛恨のドロー。そして最終第3節、フランス対ポルトガルが2-2、ドイツ対ハンガリーも2-2という、全チームの命運が試合終了間際まで目まぐるしく入れ替わる壮絶な結末を迎えました。
この激闘の中で世界を震撼させたのが、ポルトガルの主将クリスティアーノ・ロナウドの圧倒的な決定力です。グループステージ3試合で5ゴールを叩き出し、最終的にパトリック・シック(チェコ)と並ぶ得点王(ゴールデンブーツ)を獲得。代表通算ゴール数でイランのアリ・ダエイ氏が保持していた世界記録(109点)に並び、自らのキャリアにおける金字塔を打ち立てました。しかし、この栄光の裏でチーム全体の肉体的・精神的疲労はすでに限界値に達していました。