彼らが自らの行動を正当化する最大の盾としていたのが、日本の法制度に存在する「私人逮捕」の規定です。日本の刑事手続において、捜査機関ではない一般人が逮捕を行える法的な根拠は刑事訴訟法213条に明記されています。
「現行犯人は、何人でも、逮捕状がなくても、これを逮捕することができる。」(刑事訴訟法第213条)
ただし、一般人による現行犯逮捕が合法となるためには、極めて厳格な現行犯逮捕の要件を満たさなければなりません。法的に認められるのは以下の条件が揃った場合に限られます。
第一に、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた」ことが明白であること(現行性・明白性)。第二に、犯行を目撃してから時間が経過しておらず、犯人と犯罪が直結していること。さらに、軽微な犯罪(30万円以下の罰金、拘留、科料に当たる罪)については、犯人の住居・氏名が不明であるか、逃亡の恐れがある場合に限って私人逮捕が認められています。
最も重要な制約は、実力行使における相当性(必要最小限の限度)です。警察官のように法的な権限を持たない一般人が、相手をねじ伏せたり、長時間の身柄拘束を行ったり、所持品を勝手に検査する行為は、法が認める「逮捕の許容範囲」を著しく逸脱しています。