トマト缶の最大の違いは、中身のカット形状ではなく原材料として使われているトマトの品種にあります。ここを誤解している人が非常に多いのが実情です。
ホールトマト缶には、主にイタリア原産の「サンマルツァーノ種」やその改良種(長卵型の調理用トマト)が使われています。果肉が厚く水分が少なめで、加熱することで旨味成分であるグルタミン酸が凝縮し、濃厚なとろみが出るのが特徴です。皮は湯むきされていますが、種ごと入っているため適度なとろみとコクが生まれます。
一方、カットトマト缶に採用されているのは、主に「ラウンド種」と呼ばれる丸型のトマトです。生食用のトマトに近く、果肉がしっかりとしていて煮崩れしにくい性質を持ちます。また、缶詰の加工段階でサイコロ状の形状を保つため、あらかじめ種が除かれ、酸味とフレッシュ感を保つピューレ漬けにされているケースが一般的です。