味わいの面でも、両者にははっきりとした個性の違いがあります。ホールトマトは濃厚な甘みと深い旨味が前面に出るのに対し、カットトマトはキレのある爽快な酸味とすっきりした風味が際立ちます。
この特性は、調理時の加熱時間と密接に関わっています。ホールトマトは果肉が柔らかく崩れやすいため、木べらや手でしっかり潰しながら20分〜30分以上じっくり煮込むことで、酸味がまろやかな甘みへと変化し、ソース全体に深いコクが行き渡ります。潰しが甘いと部分的に酸味が残るため、調理の最初にしっかり潰す工程が欠かせません。
対してカットトマトは、果肉の繊維が強いため長時間煮込んでも溶けにくく、酸味が残りやすい傾向にあります。そのため、10分前後の短時間加熱でフレッシュな酸味と果肉の食感を活かす調理法が最も適しています。