虐待の恐怖は、親と離れ、大人になれば自然に消え去るものではない。遠野氏が長年にわたり戦い続けている摂食障害や過剰な不安、人間関係における激しい葛藤は、幼少期に負った複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)の直接的な影響であると指摘される。
体型や食事に対する極端な強迫観念は、幼少期に母から受けた容姿への執拗な攻撃と密接に結びついている。カメラの前で時に不安定な姿を見せる彼女に対して、心ない批判が寄せられることもある。しかし、それこそが虐待が遺した痛ましい「後遺症」の現れなのだ。被虐待者が大人になってから抱える生きづらさは、個人的な脆さではなく、過去の被害が生み出した病理であるという理解が今まさに求められている。