平日の午前中にもかかわらず、受付には長い列ができていた。驚くべきは、その半数以上がアジア圏や欧米から訪れた外国人観光客だということだ。スマートフォンの翻訳アプリを片手に、熱心に書架を眺める彼らの目的は明確である。日本では手に入りにくい、あるいは自国では規制の対象となりかねない希少な表現物へのアクセスだ。
運営事務局の担当者は、「京都という歴史の街に作ったのは偶然ではない」と語る。伝統文化と新しいポップカルチャーが交差するこの地こそ、境界線上の表現を受け入れる土壌があると考えたからだ。古い町家を改装したモダンな館内は、外観からは想像もつかないほど静謐な空気に満ちている。