書店の料理書ランキングを見渡すと、せいろを表紙にあしらったビジュアル本から、フライパンひとつで作れる実用レシピまで、多彩な蒸し料理本が平積みにされています。なぜ今、これほどまでに蒸し料理本が生活者の心を掴んでいるのでしょうか。取材を進めると、現代の食卓事情に合致した3つの明確な理由が浮かび上がってきました。
第1の理由は、栄養素と旨味の圧倒的な残存率です。水に溶け出しやすいビタミンCやカリウムなどの水溶性栄養素は、茹で調理だと最大50%近く流出すると言われますが、蒸気で包み込んで加熱する蒸し料理なら流出を最小限に抑えられます。さらに、食材自身の水分でじっくり火を通すため、安い野菜やパサつきやすい鶏むね肉も驚くほどふっくらジューシーに仕上がります。
第2の理由は、油分を大幅にカットできるダイエット効果です。炒め物や揚げ物のように調理油を必要とせず、肉や魚の余分な脂はスノコの下に落ちるため、同じ食材でも大幅に摂取カロリーを抑制できます。ヘルシーな蒸し野菜レシピ本やダイエット向けの指南書が、健康診断の結果を気にする働き盛り世代やボディメイク層に熱烈に支持されているのも納得の背景です。
そして第3の理由が、「ほったらかし調理」によるタイムパフォーマンスの高さです。食材を切って並べ、火やレンジにかけるだけで加熱中の付きっきり作業が発生しません。焦げ付きのリスクが極めて低く、蒸している間に別の家事や仕事を進められるため、時短・簡単を求める共働き世帯や子育て世代の救世主となっています。