作品全体のトーンは、石田スイ氏が得意とする重厚で刹那的なダーク・ファンタジーの色彩を強く帯びている。ヒソカが出会った人々との交流、そして彼らを容赦なく襲う悲劇。一見すると平穏に見えるサーカス団の日常が、一瞬にして流血と破壊に染まる描写は圧巻だ。
そして最大の見どころは、このエピソードがのちにヒソカが関わる「幻影旅団」との複雑な因縁へどう繋がっていくかという点にある。彼が何ゆえに強者との死闘を求め、蜘蛛の刺青を背負いながらも組織に一切執着しなかったのか。過去編で描かれた惨劇と彼の心理的変容を知ることで、本編における彼の行動原理すべてに筋が通る仕組みになっている。