2017年、十三代目團十郎の妻・小林麻央さんが若くして旅立った際、日本中が深い悲しみに包まれました。幼い麗禾(れいか)ちゃんと勸玄(かんげん)くんを残された家庭において、実母である希実子さんの役割は極めて重要なものとなりました。
当時、一部メディアでは「祖母である希実子さんが同居して全面的に育児を取り仕切るのではないか」と報じられました。しかし、希実子さんはあえて「完全同居」という道を選びませんでした。これには梨園関係者の間でも深い洞察があったと語られています。
歌舞伎関係者の証言によると、希実子さんは「父親である海老蔵(現・團十郎)が父親としての自覚と責任を持って子どもたちと向き合う時間を奪ってはならない」という確固たる教育方針を持っていたとされています。毎日の食事や身の回りの世話を抱え込みすぎず、学校行事や季節の節目、伝統的な礼儀作法の指導が必要な場面で的確にサポートに入りました。
現在、四代目市川ぼたんとして舞踊界でめざましい成長を見せる麗禾さんと、八代目市川新之助として堂々たる舞台を踏む勸玄さん。二人が見せる礼儀正しさと舞台への真摯な姿勢には、母・麻央さんの教えとともに、祖母・希実子さんが伝授した「成田屋の伝統の血筋」が脈々と息づいています。