医療現場や在宅介護の当事者手記を紐解くと、手術を決断するまでの葛藤と、手術後に訪れた劇的な生活の変化が克明に記されています。
ALS患者の療養記や家族の手記において共通して語られるのは、「もっと早く決断すればよかった」という安堵の声です。ある在宅療養家族の記録には次のような生の告白が残されています。
「毎晩30分おきにアラームが鳴り、ゼロゼロと苦しむ家族の痰を吸引する日々でした。介護する側も睡眠不足で限界に達し、共倒れ寸前でした。手術によって声を失うことには涙が止まりませんでしたが、術後は呼吸が穏やかになり、夜ぐっすり眠る家族の顔を数年ぶりに見ることができました。あの張り詰めた恐怖から救われたのです。」
また、重症心身障害児の母親による手記でも、発熱や低酸素発作に怯える生活から脱却できた安心感が強調されています。気管孔が安定したことで抱っこやお出かけが容易になり、表情が豊かになったという報告は少なくありません。医療従事者へのヒアリングでも、術後の吸引回数が1日40回以上から数回程度に激減した例が多数報告されています。