イカ天の歴史を語るうえで絶対に外せない聖地が、福島県のエビスサーキット・南コースと、栃木県の日光サーキットです。高低差の激しいエビス南のホームストレートから1コーナーへ飛び込む「ジャンプドリフト」や、日光サーキットのタイトな複合コーナーをミリ単位の車間距離で駆け抜けるシーンは、数々の伝説を生み出しました。
特にファンを熱狂させたのが、チーム5台が一斉に連なってコーナーを攻め立てるイカ天ドリフトの団体戦です。先頭から最後尾までがバンパーを擦り合わせるような「超接近連ドリ」は、一瞬のステアリング操作やアクセルワークの遅れが即座に大惨事へと直結します。前の車がスピンすれば後続が次々と巻き込まれ、5台全滅の多重クラッシュが発生することも珍しくありませんでした。
ビデオオプションの名場面集(神回まとめ)でも頻繁に取り上げられるのが、マシンが大破して原型を留めない状態になりながらも、ドライバー同士が笑顔で健闘を称え合う光景です。自腹で仕上げた愛車がスクラップになるリスクを背負いながら、己の限界領域に挑む姿は、見る者の本能を揺さぶる迫力に満ちていました。