ドン・キホーテの強さの源泉は、権限を現場のスタッフに委譲する「個店主義」にある。安田隆夫氏が泥臭い深夜営業の店舗から叩き上げたこの哲学は、チェーンストア理論の真逆を行く。
本部の指示通りに商品を並べるだけの均一な店舗とは異なり、ドン・キホーテ木更津店の陳列には現場担当者の生々しい意志が反映されている。房総への釣り客を見越したアウトドアギアの充実ぶりや、ドライブ客向けのカー用品の特設コーナーなど、売場の細部に独自の工夫が光る。
「売れると思ったものを、担当者の責任で仕入れ、自らの言葉でPOPを書く」。この熱量が、店内のそこかしこから溢れ出ている。客が棚の迷路を探索し、掘り出し物を発見したときの高揚感は、緻密に計算された個店主義の賜物にほかならない。