日本の賃貸市場において長年の課題だった「退去時の原状回復義務」。この制約を軽やかにクリアしながら理想の住まいを仕立てる賃貸住宅セルフリノベーションの手法が、いま幅広い世代に浸透している。壁紙を直接傷つけることなく自由な空間づくりを楽しむための知恵がそこにある。
王道テクニックとして定着しているのが、幅広のマスキングテープを下地として貼り、その上からリメイクシートを重ね貼りする多層工法だ。このワンクッションを挟むだけで、粘着剤の糊残りや下地クロスの破損を劇的に防ぐことができる。さらに、薄手のプラダン(プラスチック段ボール)にシートを貼り付け、それを壁面に仮固定するパネル方式も賃貸派から絶大な支持を得ている。
キッチン扉、洗面台のキャビネット、ドアノブ周りといった小面積のポイントチェンジだけでも、部屋全体の雰囲気は見違えるほど洗練される。手軽でありながら確実な空間の刷新は、現代のホームデコレーションにおけるスタンダードとなりつつある。