工業製品の開発・設計現場において、タングステンは「万能の魔法の金属」ではありません。比重、硬度、耐熱性が突出している反面、加工コストと材料単価が極めて高いため、用途に応じた明確な選定眼が求められます。
タングステンおよび超硬合金を採用すべきケース
- 超高温域での構造安定性が必要な環境:1500℃を超える真空炉のヒーター線、耐熱遮蔽板、航空宇宙・ロケットノズル周辺部材。
- 長寿命・超精密な耐摩耗性が要求される工具:量産ラインの金型パンチ、難削材加工用ドリル、鉱山採掘用ビット。
- 省スペースで最大の重量・遮蔽性を稼ぎたい部位:高級機械式時計の自動巻きローター、クランクシャフトのバランスウェイト、医療機器の放射線コリメーター。
タングステンの採用を避けるべき・慎重になるべきケース
- 強い曲げ応力や断続的な衝撃荷重がかかる構造材:靭性が低いため、衝撃によってクラックや破断が生じるリスクが高い部位(高強度鋼やチタン合金が適切)。
- 複雑な三次曲面を切削加工で安価に削り出したい量産品:素材が硬すぎるため刃物が摩耗し、放電加工やレーザー加工、ダイヤモンド砥粒による研削が必要となり、製造コストが跳ね上がる。