テキ屋の年収1000万は本当か?屋台の原価率とショバ代の裏側

テキ屋の年収1000万は本当か?屋台の原価率とショバ代の裏側

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「テキ屋は夏だけ働いて、残りの季節は遊んで暮らしている」というイメージも、現場の実情を知らない者による大きな誤解です。7〜8月の夏祭りシーズンが終わった後、彼らはどのように生計を立てているのでしょうか。

テキ屋 冬場の仕事を追うと、秋から冬にかけての緻密なスケジュールが見えてきます。9〜10月は全国各地の秋季例大祭や学園祭、食フェスなどの地域イベントを巡回。そして11月には、浅草の鷲神社をはじめ各地で開催される「酉の市(とりのいち)」で縁起物の熊手を担ぎます。

そして露天商にとって、夏祭りに匹敵する年間最大の稼ぎ時が12月下旬から1月の「初詣商戦」です。大晦日の夜から成田山新勝寺、川崎大師、伏見稲荷大社などの初詣スポットに屋台を展開し、極寒の中で甘酒、焼き鳥、じゃがバターなどを休みなく売り続けます。この年末年始の数日間だけで、数百万円規模の売上を叩き出す事業者も少なくありません。

しかし、2月から4月上旬の花見シーズンまでの期間は、全国的に神社の祭礼が激減する「魔の閑散期」となります。この期間を乗り切るため、多くの露天商は以下のような複業・転身を行っています。

  • キッチンカー(フードトラック)によるオフィス街・商業施設での平日ランチ営業
  • 冬場のスキー場やイルミネーション会場、アイススケート場周辺への出店
  • 内装工事、土木建築、解体作業などの現場作業員としての短期就労
  • 翌シーズンの機材メンテナンス、トラック整備、新規商材の仕入れルート開拓

氷点下の寒空の下、朝5時から機材を組み立て、深夜まで立ちっぱなしで油や火気と格闘する肉体的な過酷さは並大抵ではありません。「気楽に高年収」どころか、強靭な体力と精神力、そして季節ごとの徹底した資金繰り管理がなければ瞬く間に破綻するのが露天商の真の姿です。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。