チベットスナウサギは実在する?話題の噂とチベットスナギツネの真相

チベットスナウサギは実在する?話題の噂とチベットスナギツネの真相

チベットスナウサギは実在する?話題の噂とチベットスナギツネの真相について徹底解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

結論から明示すれば、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストや日本哺乳類学会の標準和名リスト、さらには世界的な動物分類データベース(Mammal Diversity Database)に至るまで、「チベットスナウサギ」という名称の独立した動物種は一切実在しません。学名として登録された事実も過去に一度として存在しないのが確かな記録です。

では、なぜこれほどまでにチベットスナウサギの実在を巡る検索が後を絶たないのでしょうか。そのチベットスナウサギの正体を紐解く最大の鍵は、名前の驚くべき類似性にあります。世界的な知名度を誇る肉食獣「チベットスナギツネ(Vulpes ferrilata)」の存在があまりに強烈であるため、人々の記憶の中で「スナギツネ」と「ウサギ」のイメージが短絡的に結びつき、実在する別種であるかのような錯覚が生み出されました。

さらに現在、Web上に流通している「チベットスナウサギの画像」と呼ばれるコンテンツを画像解析およびファクトチェックにかけると、大きく分けて3つのパターンに分類されます。1つ目は、丸々とした体型が愛らしい高山生物「クチグロナキウサギ」の写真に誤ったラベルが貼られたもの。2つ目は、チベットスナギツネ特有の細い目と四角い顔をウサギの体にコラージュした合成画像。そして3つ目は、2020年代半ば以降に爆発的に精度の上がった画像生成AIによって作られた「チベットスナギツネ風の架空のウサギ」です。これらが文脈を切り離されて転載を繰り返された結果、実在の動物であるかのような錯覚がネット上で定着しました。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。