84画たいとを超える文字?一番画数が多い漢字の真相と謎を追う

84画たいとを超える文字?一番画数が多い漢字の真相と謎を追う

84画たいとを超える文字?一番画数が多い漢字の真相と謎を追うについて専門的な視点から解説いたします。詳細な分析をお届けします。

日本の漢字研究における金字塔といえば、諸橋轍次が半生を捧げて編纂した『大漢和辞典』にほかならない。株式会社 大修館書店が世に送り出したこの全13巻におよぶ巨塔は、親字5万文字以上を網羅する途方もない知の集積だ。この学術的辞書において公式に「最多画数」の称号を与えられているのが、合計64画を誇るふたつの文字である。

ひとつは「龍」を4つ正方形に並べた文字。読みは「テツ」あるいは「テチ」。文字通り龍が群れをなして天を舞い、飛び交う様を意味する。古代の人間が空を見上げたとき、雲間を縫う龍の影にどれほどの畏怖を抱けば、同じ文字を4回も重ねる衝動に駆られるのか。もうひとつは「興」を同じく4つ重ねた文字で、読みは「セイ」。こちらは大いに盛り上がる、あるいは立ち上がる気配を意味するとされる。

東洋の精神史において「龍」と「興」は、エネルギーの奔流そのものだ。出版・言語教育業界においても、これら64画の文字は半世紀以上にわたり「印刷された日本語の辞書が保証する公式記録」として扱われてきた。誰が見ても明快なルールに基づき、正当な文献の裏付けを持つ。だが、この堂々たる64画すらも、漢字の迷宮においては序章にすぎない。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。