こうした国際的な関心の高まりを受け、日本語教育業界の教授法も劇的な転換期を迎えている。文法規律をガチガチに叩き込むかつてのアプローチは影を潜め、実際の社会的文脈のなかで「誰に、どの高さから、どの程度の重さで謝意を伝えるか」を体得する実践的な対話トレーニングが主流となった。
文化庁が推進する「日本語教育の参照枠」においても、単なる語彙知識の蓄積ではなく、社会的な文脈に応じた適切な言語運用能力が重視されている。異文化からやってきたビジネスパーソンが、同僚への気軽な「どうも!」と、重役への「心より御礼申し上げます」を迷いなく使い分けられるようになること。それこそが、摩擦のない共生社会を築くためのリアルな知恵として共有され始めている。