園内が最も輝きを放つのは、朝の開園直後と夕暮れ前のわずかな時間帯だ。多くの来訪者は正門から時計回りにメインの池を目指すが、静寂のなかでその真価を味わうなら、あえて反時計回りに北門側の上流エリア「木曽谷」へと直行するルートを推奨したい。
午前9時過ぎ、御嶽山に見立てた築山から流れ落ちる滝の周辺にはまだ誰もいない。木漏れ日が水煙に反射し、幻想的な光の筋を作り出す。この場所から下流へと水の流れを追うように歩くことで、設計者が意図した「川の一生」をストーリー順に体感できる仕掛けになっている。
公式パンフレットには記されていない鑑賞ポイントが、曇天の日にだけ現れる水鏡の演出だ。晴天時よりも水面の反射が穏やかになるため、木橋のたもとから池を覗き込むと、護岸の石組みと空のグラデーションが完璧なシンメトリーを描く。雨粒が波紋を広げる様子もまた一興で、あえて天候に恵まれない日を狙って訪れるコアなリピーターがいるのもうなずける。