韓国の学界が繰り返し引き合いに出すのが、2012年に生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大学教授の事例だ。未知の領域に果敢に挑み、世界を変えるブレークスルーを達成した背景には、失敗を重ねても研究を継続できた支援体制があった。
対照的に、韓国の最高峰とされる韓国科学技術院(KAIST)をはじめとする研究機関では、厳しい業績評価と論文数のノルマが研究者を縛り付けている。KAISTの教授陣からも「国際的なトップジャーナルに掲載されやすい流行の研究ばかりが選ばれ、前人未到の独創的テーマに人生を賭ける若手研究者が育ちにくい」という切実な声が漏れ伝わる。
生理学・医学賞をはじめとする自然科学3賞で日本が築き上げた圧倒的なプレゼンスは、短期的な国家プロジェクトの連発では決して埋められない「学問の深み」の差として、韓国の学術界に重くのしかかっている。