かつてのアメ横名物といえば、ワンコインの海鮮丼やカットフルーツ、あるいはケバブサンドだった。しかし現在、ストリートフード・食べ歩きの風景は劇的な変貌を遂げている。高架沿いのメインストリートから一本外れた幅1メートル強の路地裏には、本格的な中華東北部風の羊肉串焼きや、台湾夜市さながらのジーパイ(巨大フライドチキン)、ベトナムのチェーを供する小規模スタンドがひしめく。
地元民が「本物の掘り出し物がある」と口を揃えるのは、午後3時過ぎの裏路地だ。表通りの大混雑を避けるように抜けるこの裏ルート沿いでは、賞味期限間近の輸入菓子や調味料、高級ブランドのスニーカーが定価の7割引き近い破格セールで投げ売りされる光景が日常茶飯事となっている。大手量販店には決して真似できない、直談判の価格交渉が飛び交う空気感こそが、この街が放つ魔力そのものだ。
「観光客向けに見える看板のすぐ裏に、地元住民しか通わない創業半世紀の立ち飲み屋や、市場関係者が夜明け前に吸い込まれる定食屋がひっそりと生き残っている」と、界隈を40年歩き続ける常連客はニヤリと笑う。新旧が混沌と渦巻くこの細道にこそ、本当のアメ横の息吹が宿っている。