世界の災害リスクを科学的・多角的に比較する上で、国際的な標準指標となっているのが独ボーフム大学やルーア大学、ドイツのNGO連合が共同で公表する「世界災害リスク報告書(World Risk Report)」です。この報告書の核となる「世界リスク指標WRI(WorldRiskIndex)」は、単に地震や嵐がどれだけ起きるかという物理的な発生確率だけでなく、その社会が被害をどれだけ防ぎ、回復できるかという社会構造を含めて総合評価しています。
自然災害リスク指数を構成する大きな要素は、台風や地震などの外力に晒される「曝露(Exposure)」と、社会基盤の弱さを示す「自然災害脆弱性(Vulnerability)」の掛け合わせです。近年の国別被災リスク一覧において、総合ワースト上位に常連として名を連ねているのがフィリピンやインドネシア、インド、コロンビア、メキシコといった国々です。
特に島嶼国であるフィリピンやバヌアツの順位は常に最上位クラスに位置しています。太平洋の台風銀座に位置し、サイクロンや火山活動、海面上昇に直面している上に、医療体制や避難インフラの整備が途上段階にある地域が多いため、ひとたび大災害が発生すると国家機能に致命的な打撃を受ける構図が続いています。