三井家のアートコレクションは、単なる富の誇示ではない。代々の当主やその家族が、時代の美意識を先取りしながら収集した文化的資産だ。能面、能装束、刀剣、絵画、そして茶道具。その範囲は多岐にわたるが、一貫しているのは作品の質の高さと保存状態の良さだ。
とりわけ北三井家や小野田三井家など、各家に伝来した品々が一堂に会する企画展では、個々の美術品が持つストーリーが交錯する。どのような人物が愛し、どうやって空襲や震災の難を逃れて今日まで受け継がれてきたのか。作品の背景にある人間ドラマを知ることで、鑑賞体験は一層深いものになる。