多くの読者が最も戸惑い、時に拒絶を示したのが、主人公・桐山零と川本家の次女・ひなたとの間に芽生えた感情の変化だ。物語の序盤、行き場を失っていた零にとって川本家は傷ついた魂を優しく包み込む「最後の聖域」であり、あかり・ひなた・モモの三姉妹は血の繋がりを超えた温かな家族として描かれていた。
しかし物語の進行に伴い、零のひなたに対する眼差しは守るべき存在から明確な「ひとりの女性」へとシフトしていく。高校生になったひなたへの求婚に近い覚悟の表明や、甘やかな恋愛感情の介入に対し、「家族のような温かい物語だと思って感動していたのに、急に男女の生々しいニュアンスが入ってきて戸惑った」「年下の少女を恋愛対象として捉え始めるステップに生理的拒否感を覚えた」という読者が一定数存在した。無償の愛の象徴だった空間に「性や欲望」の影が落とされたと感じた層が、違和感を拭いきれなかったのだ。