感染から症状発現、あるいは病変形成に至るまでのヒトパピローマウイルスの潜伏期間は非常に長いのが特徴です。尖圭コンジローマの場合は約3週間から8ヶ月程度ですが、ハイリスク型による子宮頸がんの前がん病変(異形成)やがん化には、数年から数十年の年月を要します。
「特定のパートナーとしか関係がないから大丈夫」という認識は医学的に正しくありません。ヒトパピローマウイルスの感染確率は初体験であっても十分にあり、過去の交際相手から数年〜十数年前に感染していたウイルスが、免疫力の低下などを契機に長期間の持続感染を経て検出されるケースが多いためです。
ただし、感染したからといって絶望する必要はありません。ヒトパピローマウイルスの自然治癒の確率は高く、感染者の約90%は自己免疫によって2年以内にウイルスが自然に体内から排除されます。問題となるのは、何らかの理由でウイルスが体内に留まり続ける「持続感染(約10%)」の状態です。