一連の作品群が世に送り出された際、保守的な姿勢を維持していた写真業界には巨大な衝撃が走った。表現の自由と社会的規制の境界線をめぐり、議論は沸騰。公益社団法人日本写真家協会をはじめとする専門家コミュニティの間でも、芸術性と猥褻性の議論が白熱した。
しかし、篠山が提示した美学の力強さは、そうした不毛な議論を力ずくでねじ伏せていく。表現の領域を著しく押し広げた彼の仕事は、若手クリエイターたちに莫大な勇気を与えた。商業写真とファインアートの境界線を曖昧にし、カルチャーシーン全体を一段上のステージへと引き上げる原動力となったのである。