なぜ一企業に過ぎない宅配会社が、これほどまでに政界や裏社会へ影響力を行使できたのか。背景には、高度経済成長期からバブル期にかけて急速に拡大した物流・運送業界の過酷な競争と、行政認可を巡る権力との距離感があった。
運送事業の路線割り当てや事業免許の取得には、当時の関係官庁や政治家への強烈なパイプが不可欠とされていた。東京佐川急便は急激な拠点拡大を進める中で、法規制を潜り抜けるために政治力を欲し、同時にトラブル処理や地上げのために裏社会の力を頼った。過剰な拡大路線とガバナンスの不在が、政官財裏社会の癒着という怪物を作り出したのだった。