彼女の魅力を語る上で欠かせないのは、観客に「自分の隣にいてほしい」と思わせる絶妙な距離感だ。いわゆる高嶺の花としてのスター像ではなく、どこか日常の延長線上に存在するかのような安心感を与える。しかし、その親しみやすさを支えている土台は、緻密に計算された高度な演技力にほかならない。
新海誠監督のアニメーション映画『君の名は。』でヒロイン・宮水三葉の声を担当した際、瑞々しい感性と透明感あふれる声の響きで社会現象を巻き起こした。感情の機微を声ひと筋に乗せる卓越したテクニックは、すでにこの時点で完成の域に達していた。飾らないキャラクターと極めてストイックな職人気質。この二面性が、彼女特有の奥深い魅力を形作っている。