この地を特別なものにしているのは、性格のまったく異なる二筋の流れだ。落差約30メートルを豪快に直下する「雄滝(おんだき)」は、黒光りする岩壁を切り裂くように奔流が落ち、立ち込める飛沫が谷全体を白く染め上げる。滝壺の目前に立てば、全身に浴びるマイナスイオンと地響きのような水音に圧倒され、言葉を失う。
対照的に、下流側の鬱蒼とした木立ちの奥にひっそりと佇む「雌滝(めんだき)」は、滑らかな岩肌を優美な曲線を描きながら滑り落ちる。落差は約50メートル。その繊細な水流はまるで白絹を垂らしたかのようで、激しい雄滝とは対照的な静寂を漂わせている。古来、人々がこの一対の滝に夫婦や男女の絆を重ね合わせ、祈りを捧げてきた理由が直感的に理解できる。