2011年3月の東日本大震災直後、テレビ画面から繰り返し流れた「こだまでしょうか」の朗読を鮮明に覚えている人は多いでしょう。「遊ぼう」というと「遊ぼう」という。「ごめんね」というと「ごめんね」という。相手の言葉に反響し合う優しさを描き、最後は「こだまでしょうか、いいえ、誰でも。」と締めくくられます。
未曾有の災禍による混乱と不安のただ中で、この素朴な詩は傷ついた人々の心へ直接届きました。押し付けがましい励ましではなく、「他者への想像力」を取り戻すための呼びかけであったからこそ、あの瞬間に日本中へ深く浸透したのです。発表から1世紀近くが過ぎても一切色褪せない言葉の強度が、ここに証明されています。