ナミのプロフィールにおいて最も特徴的な点は、ナミの本名として確認できる情報が「ナミ」というファーストネーム単体に限られていることです。このナミの苗字の理由を解き明かす鍵は、東の海(イーストブルー)のココヤシ村で育つ以前の、極めて過酷な生い立ちにあります。
原作第77話をはじめとする回想シーンで描かれた通り、ナミは今から約20年前、激しい戦火に見舞われた「オイコット王国」の崩壊現場で発見されました。瀕死の重傷を負っていた海軍将校ベルメールの過去において、瓦礫の中から赤ん坊のナミを抱きかかえて現れたのが、同じく幼少期の孤児であったノジコでした。当時、ナミはまだ生後1歳未満の乳児であり、自らの出自や家名を言葉にして名乗ることは到底不可能な状態でした。
オイコット王国の戦禍がどれほど凄惨であったかは、国家そのものが瓦解し、住民票や戸籍に類する記録が消滅していることからも窺えます。ベルメールは二人を連れて故郷のココヤシ村へ帰還し、海軍へ正式な身元照会を行うことなく、私財を投げ打って実の娘として育てる道を選びました。公的な身分証が存在しない無戸籍に近い状態であったこと、そして養母であるベルメール自身も「ベルメール」という名のみで呼ばれていたことから、作中でナミに家名が与えられる機会そのものが失われていたのが実情です。