かつて「夜になると怖くて歩けない」とまで言われた宗右衛門町や三ツ寺筋。現地の店舗関係者やパトロールを続ける地域住民に取材を重ねると、街の空気感は過去数年間で一変したことが肌感覚として伝わってきます。
「5、6年前までは刺青を露出した男たちが徒党を組み、客引きや通行人を睨みつけていたが、いま路上でそうした姿を見ることはほぼない。警察の定点監視カメラの増設と、毎夜の職務質問攻勢で、路上に居座ること自体が彼らにとってリスクでしかない」と、ミナミで20年以上バーを営む店主は語ります。
しかし、これは治安が真の意味で回復したことを意味するわけではありません。大阪ミナミ治安の実態は、暴動や暴行といった「可視化された暴力」から、一般市民には気づきにくい「不可視の犯罪インフラ」へと形を変えています。客引きは路地裏の雑居ビル内に隠れ、店舗の契約名義も複雑にダミー化されているため、表面的には平穏に見えながらも、一歩奥へ入れば違法シーシャバーやヤミカジノが依然として蠢いているのです。