芸能史における危機管理の金字塔として今なお語り継がれるのが、1982年に行われた峰竜太さんの浮気謝罪記者会見です。若手俳優として注目を集めていた峰さんの不倫スキャンダルが週刊誌にスクープされた際、妻の海老名美どりさんが取った行動は前代未聞のものでした。
謝罪会見の場に夫と並んで登場した美どりさんは、縮こまる峰さんの隣でマイクを握り、「うちの人がお騒がせして本当にすみません」「でも、こんな男に引っかかる女の人の気が知れないわ」と、怒りを露わにするのではなくユーモアを交えて報道陣を笑わせました。さらに、夫の頭を小突いて見せるなど、生放送やカメラの前で徹底的に「夫を叱る強い妻」を演じ切ったのです。
この対応により、世間からの批判の矛先は「不実な夫への怒り」から「肝の据わった妻への称賛」と「情けない夫への苦笑」へと瞬時に反転しました。現代の危機管理広報の観点からも、不祥事のダメージを最小限に抑え、逆にタレント価値へと転換させた極めて高度なコミュニケーション事例と評価されています。