多くのファンが今なお語り継ぐのが、第10話(最終回)で描かれた感動的な結末です。ファンタジー作品において「現実と虚構の交錯」をどう着地させるかは最大の難所ですが、脚本の岡田惠和は驚くほど誠実で温かな答えを提示しました。
現実世界に長く滞在することで、漫画の世界の均衡が崩れ始め、仲間たちの存在や現実世界そのものにも異変が生じ始めます。さらに、どれほど愛し合っていても「住む世界が違う」という残酷な現実からは逃れられません。はらちゃんは、愛する越前さんが現実の世界で前を向いて生きていけるよう、漫画の世界へ帰る決断を下します。
別れの瞬間、はらちゃんは越前さんに「あなたのことが大好きです。あなたが生きるこの世界が大好きです」と告げ、越前さんもまた、はらちゃんから注がれた無償の愛によって、自分自身の人生を愛する勇気を取り戻します。ノートの中に戻ったはらちゃんに対し、越前さんが描く新しい漫画は、以前のような愚痴や呪詛に満ちた暗い酒場ではありませんでした。そこには、満面の笑みで歌い踊るはらちゃんたちの眩しい日常が描かれていたのです。
物理的な別れを選びながらも、ノートを開けばいつでも心を通わせることができる――。現実逃避の道具だった漫画が「生きる希望のキャンバス」へと昇華されたこの幕切れは、視聴者に深いカタルシスと前向きな涙をもたらしました。