結論から申し上げますと、『その着せ替え人形は恋をする』は完結しておらず、連載は現在も継続しています。それにもかかわらず、なぜ「完結」「打ち切り」といった検索ワードが急増したのでしょうか。業界動向と掲載誌『ヤングガンガン』の編集事情を紐解くと、主に3つの明確な要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、物語の最大の山場であった「ハニエル編(コミックス13巻〜14巻収録エピソード)」における一時的な休載と掲載サイクルの変更です。作者の福田晋一先生は、コミケ会場を圧倒する架空のダークファンタジーキャラクター「ハニエル」の衣装・作画クオリティを極限まで高めるため、取材や構想に膨大な時間を投じました。公式発表資料や編集部告知でも明かされた通り、作画密度の維持を最優先とした臨時休載や月1掲載へのシフトが行われたことで、毎号追えていない読者の間に「連載がストップした=打ち切りか?」という誤認が広がったのです。
第2の要因は、コミックスの刊行ペースです。初期は数カ月に1冊ペースで順調に刊行されていた『その着せ替え人形は恋をする 最新刊』ですが、ページ数の緻密化と連載サイクルの見直しに伴い、新刊発売までのインターバルが約8カ月〜1年近く空くようになりました。この刊行間隔の広がりが、単行本派の読者に「完結してしまったのでは」という錯覚を与えた側面があります。
第3の要因は、後述する喜多川海夢と五条新菜の劇的な関係性の進展(告白)です。多くのラブコメディ作品において「主人公とヒロインの想いが通じ合う瞬間」は最終回直前のクライマックスとなるケースが多いため、SNS上で「ついに結ばれた!着せ恋もついに完結か」という感想が飛び交い、それが伝言ゲームのように歪んで「完結・打ち切り説」として独り歩きしてしまったのが真相です。